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弱電圧と高電圧の違いは?法令による分類や具体例から解説!
2024年02月27日
皆さんは、弱電圧と高電圧の違いをご存じですか?
電気設備における電圧は、法令により分類や解釈がされており、様々な機器や施設に適用されています。また、弱電圧と高電圧では必要とする場面に明確な違いが存在します。
そこで、今回は弱電圧と高電圧の違いを法令の解釈や具体例から紐解いていきましょう。
法令による電圧の分類
電気設備における電圧は、以下の法令により分類されています。
- 電気設備に関する技術基準を定める省令(経済産業省)
- 電気設備の技術基準の解釈(経済産業省)
本項では、上記から電圧の分類について解説します。
電圧の分類
経済産業省が定める「電気設備に関する技術基準を定める省令」では、電圧を低圧・高圧・特別高圧に分類し、それぞれの適用範囲を以下の様に定めています。
直流 | 交流 | |
低圧 | 750V以下 | 600以下 |
高圧 | 750V超え、7000V以下 | 600V超え、7000V以下 |
特別高圧 | 7000V超え |
そのため、一般的に家庭用のコンセントや配電盤に供給する電圧は、100Vや200Vが使用されるケースが多く、低圧に位置づけられます。
なお、上記における交流は時間により大きさや向きが変化するタイプの電圧で、交流発電機などにより生成される電気です。対して、直流は、時間により変化しないタイプの電圧を示しており、乾電池や自動車のバッテリーなどに使われています。
弱電圧とは?
弱電圧は、法令などで具体的に定義されているものはありません。一方で、「電気設備の技術基準の解釈」では、弱電流電線の電圧について以下の様に記載されています。
- 「電気設備の技術基準の解釈」第181条
小勢力回路(電磁開閉器や警報ベルなど)の電路にて、最大使用電圧60V以下のもの
- 「電気設備の技術基準の解釈」第182条
出退表示灯やそれに接続する電路にて、最大使用電圧60V以下のもの
なお、60V以下の機器では48V以下の品物が多く、弱電圧が48V以下と解釈されるケースも少なくありません。
上記より、弱電圧は弱電流電線における最大使用電圧から、60V以下(もしくは48V以下)と解釈されるケースが一般的です。
弱電圧と高電圧の具体例
前項では、法令による分類や解釈から弱電圧と高電圧の違いを解説しました。
現在では、様々な物や場所において弱電圧と高電圧が使い分けられています。
本項では、弱電圧と高電圧の具体例を紹介します。
弱電圧の例
弱電圧は、小勢力回路(電磁開閉器や警報ベルなどの回路)に用いられる電圧と解釈され、家電製品の操作回路や配電盤の信号線など幅広く使用されています。
例えば、電気スタンドにも弱電圧が使用されます。電気スタンドは、以下のような回路構成が一般的です。
- 主回路:家庭用コンセントからランプまでを繋ぐ回路
- 操作回路:スイッチ操作を行う回路
上の例における主回路の電圧は、家庭用コンセントから供給されるため、最大電圧100Vが主流です。一方、操作回路はスイッチによるON-OFF信号を主回路に伝える目的で使用されます。そのため、信号線としての役割が強く、直接的な電力源ではないので、弱電圧を使用するケースがほとんどです。
このように、弱電圧は様々な製品の操作回路における信号の役割を果たしていることがわかります。
高電圧の例
高電圧は、主に舶用や施設(排水機場・病院・データセンターなど)の発電機で用いられています。コンテナ船などでは、運行中の生活電力の他に、荷役時など大電力を必要とするケースも少なくありません。そのため、高電圧に分類される6600Vクラスの発電機を用いるケースが多くあります。
また、様々な施設には災害などによる停電に備えて非常用発電機が設置されています。排水機場・病院・データセンターなどでは、施設内で使用している機器が多く、一般家庭と比べて大きな電力が必要です。そのため、6600Vクラスの発電機が多く設置されています。
なぜ高電圧が必要なのか?
高電圧による送電は、電力損失の削減につながります。電力損失は、主に熱として放出され、以下の法則が成り立ちます。
- 熱量=電流×電流×抵抗×時間
Aの式より、同じ抵抗および時間の場合、熱量(電力損失)を少なくするためには、電流を少なくしなければなりません。(電流の2乗に比例しているため)
また、電力は以下の様に電流と電圧の掛け算で表されます。
- 電力=電流×電圧
Bの式より、大電力を必要とする場合、電流もしくは電圧を大きくする必要があるとわかります。
したがって、大きな電力の生成には、電力損失を少なくするために高電圧化が求められると言えるでしょう。
弱電圧と高電圧の違いは?法令による分類や具体例から解説!まとめ
今回は、弱電圧と高電圧の違いを法令の解釈や具体例により解説しました。
弱電圧は60V以下と解釈され、高電圧は交流600V以上・直流750Vと定められていることがわかりました。
本記事が、弱電圧と高電圧の違いを学ぶキッカケになれば幸いです。