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開閉器盤とは?引込式開閉器盤のすべてについて詳しく解説します
2023年12月13日
建物の屋内に電気を配線する機器の中に、「開閉器盤」と呼ばれるものがあります。
開閉器盤とは、屋外配線と屋内配線の間に設置されるもので、配電にとって重要な機器です。
この記事では開閉器盤とは何か、開閉器盤の役割や種類、設置場所などについて解説します。
何かの機会で開閉器盤を見かけたときは、この記事の内容を思い出して、その役割についてあらためて理解を深めてみてください。
開閉器盤とは
開閉器盤とは、送電された電気を建物に引き込む際に設置される共用分電盤のことです。
開閉器盤は電気の通電を開閉するために利用されます。屋外配線と屋内配線の結合場所、すなわち引込口に設置されていることから、一般的には「引込開閉器盤」と呼ばれています。
開閉器は主開閉器と分岐開閉器から構成されていて、屋外配線からいったん主開閉器に電気を通したあと、分岐開閉器を経由して建物内のコンセントや照明器具といった分岐回路に電気を流します。
分岐回路は以下の3種類です。
・熱動電磁式
・完全電磁式
・電子式
熱動電磁式分岐開閉器と完全電磁式分岐開閉器は電磁石を利用しているのに対して、電子式分岐開閉器は電子回路で制御している点が大きな違いです。
電気に関係する基盤の種類
ここで、建物や工場に設置されている電気に関係する基盤について簡単にご紹介します。
電気に関連する基盤には以下のようなものがあります。
・配電盤
・分電盤
・制御盤
・監視盤
・端子盤
電気は高圧の状態で発電所から送電されるため、受変電設備で電圧を下げなければなりません。
受変電設備で変圧した電気は配電盤に送られます。配電盤で受けた電気を小分けにして分電盤に配送し、コンセントや照明器具、冷暖房器具で使用します。
配電先は小規模な家庭用機器や照明だけではありません。
たとえば、機械の制御用であれば「制御盤」、機械の監視に使用するのであれば「監視盤」、外部機器の接続用に用いるのであれば「端子盤」、と目的に応じてさまざまな基盤に電気が送られるのです。
開閉器盤を開ける場面
普段、私たちは引込開閉器盤を開けることはありませんが、以下の場合は開閉器盤を開けて状態を確認します。
・検針のとき
・停電のとき
・定期点検
それぞれの場面について解説します。
検針のとき
私たちにとって一番身近なタイミングは、月々の電気使用量を確認するときです。電気の使用量を確認するために、電力会社の検針員が引込開閉器盤を開けます。
頻度が高い作業であるため、引込開閉器盤は開閉しやすい場所に設置されています。
停電のとき
停電のときにも引込開閉器盤を開ける場合があります。
電気機器を使いすぎるとブレーカーが落ちます。この場合、ブレーカーを上げる必要がありますが、ブレーカーが引込開閉器盤の中にある場合は、開閉器盤を開けてブレーカーを上げなければなりません。
一般的な住宅では分電された場所にブレーカーが設置されています。万が一のときに備えて、ブレーカーがどこに設置されているのか事前に確認することが重要です。
定期点検
引込開閉器盤の定期点検を行うときにも、開閉器盤を開ける必要があります。
引込開閉器盤の取り替え時期は20〜25年が目安です。ただし、経年劣化が起こると、それより前に取り替えなければなりません。
経年劣化の原因は、主に漏水です。
引込開閉器は、ほとんどが屋外に設置されているため、雨水などにさらされています。そのため、引込開閉器の金属製ボックスが錆を起こし、漏水します。
この状態を放置すると故障の原因となるだけではなく、漏電や短絡(ショート)の原因ともなります。また、地絡が発生するため非常に危険です。
定期点検を十分行い、取り替えが必要か確認するようにしましょう。
開閉器盤の設置場所
引込開閉器盤を設置する場所は以下の2つです。
・一戸建て住宅
・集合住宅
それぞれの設置場所について詳しく解説します。
一戸建て住宅
一戸建て住宅の場合、引込開閉器盤用にポールか引込開閉器盤用の電柱を設置するケースがほとんどです。
外壁に直接引込開閉器盤を設置するケースもありますが、外観が損なわれるため、引込用電柱を設ける方が一般的です。
先ほど解説したとおり、月に1度は開閉の必要があるため、通常比較的扱いやすい位置に設置されます。
集合住宅
マンションといった集合住宅の場合は、建物の規模によって設置場所が異なります。
比較的規模が小さい集合住宅であれば電柱などの屋外に設置されますが、大規模な集合住宅の場合は分電盤室に設置されます。
まとめ
今回は引込開閉器盤について解説しました。
引込開閉器盤は屋外配線と屋内配線を結合する部分に設置される基盤で、電流の流れを制御するための重要な役割を担っています。
引込開閉器盤は定期検針で開けることがあるため、確認しやすい場所に設置されています。
もし、街中で引込開閉器盤を見かけたときには、その役割について理解を深めるのもよいでしょう。