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地絡とアースの違いとは?短絡や設置工事など詳しく解説します
2023年12月28日
電気が流れ出ている状態を表す言葉に「地絡」というものがあります。
一方、地面に電気を流すときに利用するものとして「アース」と呼ばれるものがあります。
さらに、電気が外部に流れ出ている状態として「短絡」もありますが、これらの違いについてよくわからない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、地絡とアース、短絡とは何か、その違いについて解説します。
家庭や職場の電気機器で漏電などが気になったときには、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
地絡とは
地絡とは、地面に電気が流れ出ている状態のことをいいます。
あまり聞きなれない言葉ですが、ニュースや映画で電線がスパークしている画像を見かけることがありますが、あれは地絡している状態です。
地絡の原因でもっとも大きいのは電気機器の漏電で、漏電した電気が金属を伝って地面に到達します。この状態が地絡と呼ばれるもので、非常に危険です。
その他にも外部に設置されたケーブル類の劣化、電線の断線、大型車両と電線との接触、小動物によるケーブルの損傷(ケーブルをかじる)なども地絡の原因となります。
短絡とは
地絡と似た言葉に「短絡」があります。短絡とは、端的にいうとショートです。
地絡と短絡との違いは、地絡が地面に対して漏電しているのに対して、短絡は電気機器内部で起こっている状態を指す点です。
つまり、機器のショートにより地絡が発生すると考えればよいでしょう。
短絡を起こすと機器が故障してしまうだけではなく漏電の原因にもなり非常に危険です。
短絡の原因はさまざまですが、もっとも大きな原因は電流の過負荷によるものです。その他にも、機器の配線が触れ合うことで起こる場合もあります。
いずれの場合も電気が直接外部に漏れだしている状態で、感電の危険性があるだけではなく、火災の原因にもなります。なお、地絡で流れている電圧はおおむね100〜400V程度です。
この電圧は家電機器で使用されている電圧と同じで、漏電した電気がそのまま地面に流れていることがわかります。
30〜50Vの電圧が流れると感電死してしまうため、短絡は非常に危険な状態なのです。こうした短絡を防ぐときにもアースをしなければなりません。
アースとは
「アース」は短絡による漏電を防ぐ目的で電気機器に取り付けられた部品です。別の言い方で「接地」と呼ばれることもあります。
ときどき電気器具のコンセントに銅色の部品がついていることを見かけますが、あの部品がアースです。
アースは電気機器の部品だけではなく、工事で設置されることもあります。その場合は接地工事を行わなければなりませんが、設置工事に関しては後ほど詳しく解説します。
地絡とアースの違い
地絡とアースの違いは、地絡が漏電であるのに対して、アースは意図的に電気を逃がしている点です。
つまり、地絡は意図せず電気が流れ出ている状態であるのに対して、アースは意図して電気を流しているのです。
アースをしなければ機器の過電圧や漏電の際に電気の逃げ道がなくなるため、機器の故障、さらには感電や火災の原因にもつながります。
接地工事の種類
アースは電気製品だけではなく工場や大型施設にも接地されていて、目的に応じて保安用接地、機能用接地、雷保護用接地の3種類の工事を行います。
保安用設置に関してはA種からD種の4つにわかれていて、それぞれ接地抵抗地や電線の種類に違いがあります。
その違いは以下の通りです。
接地工事種類 | 設置基準 | 接地対象箇所・機器 | |
A種接地工事 | 機器設置 | 高圧・特別高圧用機器 | 機器の外箱鉄台の接地箇所 |
B種接地工事 | 系統設置 | 高圧・特別高圧用機器と低圧用機器を結合する箇所 | 洗濯機や温水器屋外機器(自動販売機など)エアコン・工作機械・溶接機械 |
C種接地工事 | 機器接地 | 300Vを超える低圧用機器 | 機器の外箱鉄台の接地箇所 |
D種接地工事 | 機器設置 | 300V以下の低圧用機器対地電圧100ボルトおよび200ボルト用機器 | 機器の外箱鉄台の接地箇所 |
まとめ
今回は、地絡とアースとの違いについて解説しました。
あらためて整理すると、地絡とアースとの違いは以下の通りです。
・地絡:漏電により意図せず電気が地面に流れ出ている状態
・アース:漏電や短絡を防ぐために意図的に電気を逃がすために設置されたもの
このように、地絡とアースはまったく異なります。
地絡と似た言葉に短絡がありますが、大きな違いは地絡が地面に対して電気が流れ出している状態であるのに対して、短絡は電気機器内部で起こる状態を意味します。
アースは電気機器に部品として付属している場合もありますが、接地工事が必要な場合もあります。そのため、アースをする際にはどのようにするのか事前に確認することが重要です。
その際には、電圧量によってA種からD種の接地工事があり、それぞれ設置基準や設置対象物が変わります。
普段、私たちはアースについて意識はしませんが、アースは非常に重要です。家庭内、もしくは職場で電気の漏電について気になったときには、ぜひ電気工事を行う業者に相談することをおすすめします。