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幹線工事とは?幹線工事の作業内容や関連する工事についても解説
2023年10月04日
電気工事にはさまざまな種類がありますが、その中のひとつに幹線工事というものがあります。
幹線工事とは、ビル、工場といった大型施設の電気配線のうち、大元になる電気配線を新たに敷設したり、改修したり、延伸したりする工事のことをいいます。
一般家庭では行われない工事のため、私たちには馴染みのない工事です。しかし、大型の建物では必須の工事のため私たちの生活にはなくてはならない工事です。
この記事では、幹線工事値はどのような工事なのか、幹線設備とはどのような設備なのか、幹線工事に関連する工事などについて解説します。
この記事を読めば、幹線工事について深く理解ができ、幹線工事をより身近に感じ取れるでしょう。
商業施設やビルを利用する際には、幹線工事によって電気が通っていることをふと思い出してみてください。
幹線工事とは
幹線工事とは、送電されてきた電気を工場、ビル、商業施設といった大型建物の電気設備に送る際に、大動脈となる配線の工事を行うことをいいます。読んで字のごとく幹となる部分で、ここから各フロアや居室に回線が分岐され、照明や電気器具に電気が送られます。そのため幹線は非常に重要な部分で、幹線工事がしっかりしていない場合は建物全体に影響が及びます。
幹線工事は主に次のような工事を行います。
・幹線敷設工事
・幹線改修工事
・幹線延伸工事
それぞれの工事について解説します。
幹線敷設工事
新たに建物を建築する際には幹線敷設工事を行います。
具体的には、受変電設備(変圧器)から配電盤を経由して分電盤まで配線を行います。幹線は地中に埋設する場合と架空配線する場合があり、いずれも建物の骨格が組みあがる段階で行われます。
配線の敷設の他に、配電盤や分電盤の設置工事なども同時に行われます。
幹線改修工事
幹線が古くなり交換が必要になった際には幹線改修工事を行います。
その他にも、各施設で使用する電力が足りなかったり、過剰な電力が供給されたりする場合にもコスト削減の意味を込めて改修工事が行われます。
現在使用されている電力量を計測し、最適な設備の設置や幹線の引き直しなどを行います。
幹線延伸工事
建物を増改築し、幹線を敷設する必要がある場合には幹線延伸工事を行います。
ケーブル長は10メートルから数キロメートルにわたることもあります。架空配線を行う際には、数トンもの重量があるケーブルを十数メートルある場所に移動し、延伸することもあります。
幹線設備とは
幹線にはさまざまな設備が利用されています。
主な設備は電気の供給源となる受変電設備(キュービクル)、配電盤、分電盤、蓄電池、非常用発電機、そしてそれらをつなぐケーブルから構成されています。
幹線をつなぐものはケーブルだけでなくバスダクトといった大容量電流路なども含みます。これらを総称して幹線設備と呼びます。
幹線設備工事以外の電気設備工事
ここまで幹線工事について解説しました。
幹線工事に関連する工事にもさまざまなものがあります。
具体的には以下のような工事が該当します。
・受変電設備工事
・動力設備工事
・照明設備工事
・コンセント設備工事
それぞれの設備について解説します。
受変電設備工事
発電所から送電された電気を使用可能な電圧に変換する設備を受変電設備といい、この設備の設置、改修、撤去などを行う工事を受変電設備工事といいます。
受変電設備は開放型受変電設備(オープン式)と閉鎖型受電設備(キュービクル式)の2つの種類があり、それぞれ変圧器、制御装置、配電盤といった装置から構成されています。
動力設備工事
幹線によって送られてきた電気をエネルギーや動力に変換する装置のことを動力設備といい、この装置の取り付けや改修を行う工事のことを動力設備工事といいます。
具体的にはエレベーター、エスカレーター、エアコンといった器具を動かすための動力を生みだす設備が該当します。
照明設備工事
オフィスの証明器具や点滅器、調光器といった電気を光に変える設備を照明設備といい、この設置を行う工事が照明設備工事です。この設備を使用するための分電盤の設置もこの工事に含まれます。
ビル内の照明の他に、非常灯、トンネル内の照明設備、防犯灯などあらゆる照明器具に関係した工事を行います。
コンセント設備工事
主に居室のコンセント類を設置するための工事です。この電気は幹線とは直接関係はなく、主に分電盤をとおして供給されます。
間接的ながら私たちの日常生活には欠かせない電気工事のひとつです。
幹線設備と動力設備の違い
幹線設備と動力設備の違いは、幹線が電気を通す主軸となる設備であるのに対し、動力設備は実際に電気をエネルギーに変える設備であるという点です。
これは幹線設備と照明設備の違いと同じで、幹線が電気の通り道の役割を果たす一方で、動力設備や照明設備が電気を働かせるための設備であるという関係性と同じです。
電気を供給する役割と電気を働かせる役割をそれぞれ分担していると考えればわかりやすいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ここまで幹線工事について解説しました。改めて整理すると、幹線とは建物に電気を通す際の大動脈となる配線で、建物にとってはなくてはならないものです。
この幹線を新たに敷設したり、改修したり、延伸したりする工事のことを幹線工事といいます。幹線には受変電設備や配電盤、分電盤といった設備があり、普段私たちにとっては見慣れないものばかりです。
幹線と直接関連はないものの、幹線設備をとおして供給される電気を使用するためには照明設備やコンセント設備といった設備があり、建物に電気をとおし、人々が活動をするためには欠かせないものばかりです。
幹線工事は私たちとはなじみのないものかもしれませんが、特に大型の施設を利用する際には、「ここでも幹線工事が行われたんだ」と少し意識し、幹線についてより理解を深めるのもよいかもしれません。